可愛らしいビートルを捨て、荒野の怪物へと転生したNEWINGの野心作MadBug [YouTube解説]

ビートルのイメージを鮮烈に裏切る「衝撃」

フォルクスワーゲン(VW)の「ザ・ビートル」という名を聞いて、我々の脳裏をよぎるのは、あの丸みを帯びた愛らしく、都会的なシルエットだろう。しかしNEWING(ニューイング)が提示した回答は、そんな甘美な固定観念を圧倒的な威圧感とともに鮮烈に裏切るものへと転生させた。

その名は「MadBug(マッドバグ)」。2025年の大阪オートメッセで鮮烈なデビューを飾り、続く2026年にも展示が予定されているこのデモカーは、同ブランドが手掛けるコンプリートカーの「第2世代」にあたる。爆発的な反響を呼んだ第1世代が早々にオーナーの元へと旅立ったことを受け、さらなる進化を遂げて誕生したこの「怪物」の深淵を紐解いていこう。

砂漠を駆ける伝説と世紀末の狂気が交差する場所

「MadBug」というネーミングには、単なる愛称を超えた重厚なストーリーが込められている。

そのルーツは、伝説的なオフロードレース「バハ1000」を駆けたVWタイプ1の改造スタイル「バハ・バグ(Baja Bug)」にある。砂漠のダートを泥まみれで激走するその勇姿に、池田社長が愛してやまない映画『マッドマックス』の荒廃した世界観がクロスオーバーしたのだ。

社長の口から語られるネーミングの由来は、作為のない、純粋なパッションに満ちている。

「そのマッドマックスのマットと、バグをつけてマットバグという名前を、付けさせてもらいました」

飾らない言葉の端々からは、映画が描くポスト・アポカリプス(終末世界)の美学を、現実のカスタムへと昇華させたことへの自負が感じられる。

3日間の公開ライブで刻まれた「砂漠の質感」

MadBugのボディを覆うマットな質感は、単なるトレンドの追従ではない。それは、映画の舞台である砂嵐が吹き荒れる荒野、その乾いた質感を物理的に具現化したものだ。

この全身を包み込むラッピングは、大阪モーターショー2025の開催期間中、わずか3日間という極限のタイムスケジュールの中で施工された。手がけたのは「リンダ・ファクトリー」。本来、これほどの大作業には綿密な下準備と静粛な環境が必要とされるが、彼らは観衆の視線が集まる「公開ライブ」という形式で見事に完遂させた。

会場での突貫作業とは到底思えないそのクオリティは、細部のブラックアウト処理と相まって、車体に潜む野性味を一層際立たせている。

最新のテクノロジーを「全部突っ込む」という贅沢

その外装には、シニア・エディターの視点から見ても唸らされる、マニアックなまでのディテールが詰め込まれている。単なる「オフロード風」ではなく、本質的な機能を最新のデバイスでアップデートしているのだ。

  • 丸型LEDフォグランプの刷新: 第1世代で採用されていたバータイプのLEDをあえて廃し、「丸いボディには丸い灯火類が相応しい」というデザイン哲学に基づき、大径の丸型フォグを2基導入。
  • エンジェルアイの眼光: 純正フォグ位置にはエンジェルアイ付きLEDを換装。クラシックな外観に現代の鋭い眼光を宿らせた。
  • MS1 SUVホイールとマッドスター: NEWINGオリジナルの「MS1 SUVタイプ」ホイールを装着。リムガードを1個ずつピアスボルトで固定した武骨なデザインは、まさにMad Maxの重機を彷彿とさせる。そこに組み合わされるのは、隆起したブロックパターンが特徴の「マッドスター」タイヤだ。
  • 2インチの高度: 専用のブルーサスペンションにより、前後ともに車高を2インチリフトアップ。これにより、いかなる悪路をも蹂躙せんとする迫力のシルエットが完成した。

ポルシェの魂を宿した、予期せぬ優雅さ

荒野を蹂躙する準備を整えたエクステリアに対し、インテリアは「NEWINGカスタムインテリア」の真骨頂ともいえる、贅沢なパラドックスが用意されている。

ドアを開けた瞬間に目に飛び込んでくるのは、ポルシェ純正のアンティーク生地を使用した鮮やかなブルーのチェック柄だ。これは、ベース車両が元来持っていたボディカラーへのオマージュであり、車両が変貌を遂げる前の「魂」を内側に留めたものである。

しかし、その優雅な生地が張られているのは、究極のホールド性を誇る「レカロ RMS カーボンシート」。スパルタンなレーシングシェルに、普段乗りがしやすいように職人が手を施しカスタムクッションを融合させるという贅沢。さらに赤いシートベルトや、ブルーチェックで統一されたフロアマットなど、細部まで隙のないコーディネートが施されている。この「荒野の怪物」と「高級車の品格」が同居する空間こそが、NEWINGの提示するカスタムの極致と言えるだろう。

カスタムカーが描く、ライフスタイルの地平線

「MadBug」の野心は、四輪の世界に留まらない。会場では同じマットラッピングを施したハーレーダビッドソンとのセット展示が行われ、4輪と2輪を統一された世界観で操るという、究極の「大人の遊び場」を提案している。

過去の伝統(バハ・バグ)を尊重しながら、最新のテクノロジーと映画的な美学、そして内装への異常なまでの拘りを融合させたMadBug。この一台は、単なる乗り物を超え、オーナーの生き様を体現する「動く芸術品」へと昇華された。

もしあなたが、自身の愛車というキャンバスを自由に塗り替えられるとしたら、そこにどんな「狂気」と「遊び心」を詰め込みますか?MadBugが放つ圧倒的な存在感は、我々にそんな幸福な問いを投げかけている。

車両スペック、金額等の詳細は以下のリンクからご覧いただけます。

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